「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」が特定化学物質に

「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」について、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、これら物質は特定化学物質(第2類物質)として加えられる等の改正が行われました。

●●●これまでマンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く)とされていましたが、「塩基性酸化マンガン」が特定化学物質障害予防規則の適用物質となったことにより、今後は「マンガン及びその化合物」になります。

●●●「塩基性マンガン」暴露による神経機能障害が確認されています。「溶接ヒューム」にも「塩基性マンガン」が含まれていますが、肺がんのリスク上昇など毒性や健康への影響が異なる可能性が高いことから、「溶接ヒューム」と「塩基性マンガン」を独立した

改正により次の事項が新に必要になります

作業主任者の選任(安衛法第14条)

●「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」を製造し又は取り扱う作業(屋外作業、屋内作業を問いません)が新たに対象に加わります。

●上記作業については「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから特定化学物質作業主任者を選任することが必要となります

作業環境測定の実施(安衛法第65条)

●「塩基性酸化マンガン」を製造し又は取り扱う屋内作業場が新たに対象に加わり、6か月ごとに一回、定期に作業環境測定を行う党の措置が必要となります。

●「溶接ヒューム」に係る作業を行う屋内作業場は適用除外されます。
(ただし空気中の溶接ヒューム濃度の測定等に留意して下さい)

特殊健康診断の実施(安衛法第66条第2項)

●「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」を製造し又は取り扱う業務(屋外作業、屋内作業を問いません)が新たに対象に加わります。

●上記業務に従事する労働者に、雇入れ又は配置換えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に医師による健康診断を実施することが必要です。

●健康診断項目は「溶接ヒューム及び「塩基性酸化マンガン」とも、従来のマンガン及びその化合物に係る項目と基本的に同じです。

●金属アーク溶接等作業については、従来、じん肺法に基づくじん肺健康診断が義務付けられているため、両方の健康診断を実施することが必要となります。

その他

「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」を製造し又は取り扱う作業について、新たに以下の規定等が適用されます。

●安全衛生教育(雇入れ時・作業内容変更時)・・・安衛則第35条

●ぼろ等の処理・・・特化則第12条の2

●不浸透性の床・・・特化則第21条

●関係者以外の立ち入り禁止措置・・・特化則第24条

●運搬貯蔵時の使用等・・・特化則第25条

●休憩室の設置・・・特化則第37条

●洗浄設備の設置・・・特化則第38条

●喫煙又は飲食の禁止・・・特化則第38条の2

●有効な呼吸器用保護具の備え付け等・・・特化則第43条及び第45条